一周忌記念盤「園田高弘 エッセンシアル」2005年11月発売

ライナーノーツより 諸井 誠(作曲家)

・・・ちょうどこの頃、昨年10月7日に惜しまれて他界された園田高弘一周年記念盤への執筆を、未亡人になられた春子さんから依頼され、試聴盤が送られてきたので、早速、楽譜とにらめっこで聴き始めた。J.S.バッハ、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームス、リスト、ショパン、ドビュッシイ、ベルク、ラヴェル、ストラヴィンスキーと、13人の大作曲家による、園田氏が最も得意とする作品が、編者である未亡人の心中深くひめられていると思われる意図が、充分こちらに伝わる形で並んでいたので、胸が詰まる思いであった。
春子夫人が収集され、保存し、近年の演奏は自らのプロデュースで録音してきた膨大なテイクの中から、一曲、一曲選び抜かれたのだと思うとたまらない。もうこの偉大なピアニストの生演奏は聴けないのだし、新録音も生まれえないのだとすると、寂しい限りだ。
日本初の“偉大な”ピアニストを失った現実に直面して、大きな空洞が胸の中にできたように思えるのである。
・・・[付言]CD制作者としての春子夫人の名パートナーは、トーンマイスターの資格を持つ桜井 卓(たかし)さんです。昔、AVILACホールの館長をしていた頃、私はこの人と一緒に仕事をしたことがあり、彼の技能と人柄をたいへん高く評価していたので、春子夫人が園田氏のためにレコーディング・カンパニーを設立されるとうかがって、強力に桜井氏を推薦しました。この4枚組の中にも、彼が録音、編集した作品がいくつか収録されていることでしょう。録音の日(時)、場所(ホール等)、とりわけトーンマイスター(ミキサー)がどなたかなど、データを是非追加発表して下さい。

定価:6,000円
ACCUSTIKA
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